2012/04/08

自動車教習所に通いはじめたこと

 SF映画などにときどき出てくる、過去と現在を自由に行き来できる奇妙な穴が(時空間の歪みだか何だかによって)もし目の前に現れたとしたら、私は傍らの1.5リットルの飲料水用ペットボトルを手にして、大学時代の私の頭頂部に向けて思い切り振りおろしたに違いない。そして叫ぶだろう、「なぜお前は自動車免許を取っておかなかったんだ!」と。

 その理由は自分でもよく分かっている。およそ7年前の話だ。その頃の私は、地球環境の保全の観点から、自動車を目の敵にしていた。地球環境の保全なんていうとちょっと格好いいかもしれないけれど、実はそのほかにも理由があって、それは例えば「視力が悪くなっていたのに眼鏡をかけるのが何となく嫌だった」とか、「皆と同じことをするのが嫌だった」といったもので、まあ要するにアホだったのだ。1.5リットルの飲料水用ペットボトルを頭頂部に振りおろされておけば良かったのだ。本当に。

 そんな体たらくであったのだが、先々週から、自動車教習所に通いはじめている。今年の夏に日本を発つことを考えると、タイミング的には結構ぎりぎりである。
 もちろんアメリカでいきなり免許を取るという手もあるだろう。経験者は一様に「向こうで取る方が簡単だよ」と言う。確かにそうかもしれない。しかし、あまりに簡単に免許が取れてしまうというのも個人的には考えものである。運転には慣れてきたけどお婆ちゃんは3人ほど轢いちゃった、というのではうまくない。そんなわけで、初運転はたぶんアメリカになるのだが、その前に日本の教習所で修練を積むことにした。お婆ちゃんは大事にしていきたいと思うから。

 私はいま、アクセルとブレーキの違いを理解したところだ。そして、カーブも曲がれるようになった。右回りだって、左回りだって、どんとこいだ。
 坂道発進とか、バックとか、縦列駐車とか、そのあたりのことは、私にはまだお尋ねにならないよう、よろしくお願い申し上げたい。

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